2005年1月2日

岩崎元郎、新・日本百名山を語る!

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは岩崎元郎さんです。
岩崎元郎さん

 ゲストは無名山塾を主宰する登山家の「岩崎元郎(もとお)」さんです。「岩崎」さんは去年、中高年にも登りやすい「新・日本百名山」を提案、元旦からその登頂をスタートさせました。そんな「岩崎」さんに「新・日本百名山」登頂の意気込みや、新しく選んだ山の個性、関東圏のオススメの山などうかがいました。

全国民が山に登るべき!?

●明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します。

「ありがとうございます。今年、還暦なんです。自分でも信じられないんですけど、3月28日で満60歳です」

●全くそんな風には見えませんね!

「そうですか。ありがとうございます。自分でも全然そんな気がしませんね(笑)」

●(笑)。そのエネルギッシュな若さの秘訣は山ですか?

「やっぱり山だと思いますね」

●去年の秋に岩崎さんは「新・日本百名山」を発表されましたが、これは深田久弥(ふかだ・きゅうや)さんの日本百名山とは違うんですよね?

「はい。深田先生は山の品格、歴史、個性、それに加えておおよそ1500m以上という基準の中で、深田先生のご経験の中で日本の山のベスト100っていうのを選ばれたわけなんです。僕の方は1983年から中高年登山に関わるようになって、20年経ったわけですが、その間どんどん中高年登山者が増えて、それは同時に深田先生の日本百名山のブームでもあったわけですね。
 で、深田先生の日本百名山をさらに高齢化した中高年登山者が追いかける結果、それが全てではなくて他にも色々と要因があるんですが、中高年登山者の遭難が増えている原因のひとつに、『何が何でも百名山を登る』それにこだわるところに事故の原因があるんじゃないかなと思って、中高年登山者の事故の減少を提案したい。
 それからもうひとつは、僕はやっぱり日本の健康な未来には全国民が山に登るべきじゃないかなと思うんです。山の輪を広げろという天命を受けてですね、『山登りがいいよ』と言い続けたいですね。で、そのひとつとして、新日本百名山を提案して、みなさんに山登りは健康にいいということを気付いていただいてという目的があるものですから、もちろん山の魅力というのはありますけど、何よりも沖縄から北海道までの全国47都道府県からは一山選んで、『行ってみたいな』と思う人が身近に登れるような山も選んで、とにかく全国民に山に登ってもらおうという大きな目的を、僕の新日本百名山には込めているつもりなんです」

●すなわち健康になるための百名山なんですね。

「そうですね。僕も40年間ずっと山をやっていて、今、言っていただいたように若く健康でいられるものですから、その根っこには山登りがあるんじゃないのかな。で、肉体は当然として、何よりも僕、心が健康になると思うんですよ。それが今の日本にはとても大切な気がするんですよ」

●登山って聞くと、私のイメージでも「すごく大変そう」っていう印象があるんですが、岩崎さんにお会いしてお話をうかがうようになってから特になんですけど、中高年の登山っていうのは同じ登る山でも、山登りというよりは山歩きなんだなって感じたんです。

「そうですね。僕が思うのは、これが日本の山の魅力だと思うんです。というのは、ヨーロッパ・アルプスですと、例えばマッターホルン。岩と氷ですよね。モンブラン、去年の8月にみなみらんぼうさんも、大きな声で言うとらんぼうさんに怒られちゃうんですけど(笑)、還暦の記念にお登りになったんだけど、4800m超のすごい雪の山ですよね。そういうところに行くのには、ピッケルとアイゼン、ガイドさんとザイルを結んでという感じですよね。こういう山はそう簡単には行けませんけども、日本の山の場合には、二本の足を交互に上げていけば頂上に立てるわけですからね。これは『やってみようかな』と思えば誰でも出来るんです。
 ただ、問題なのは、誰でも出来るものですから中高年登山者の事故が増えてしまった。例えば、日本の山の場合には、それが富士山であれ、どこの山でもそうなんですが、夏山だと運動靴とジーパンでも登って登れないことはないわけですよね。しかしこれ、マッターホルンだったらジーパンと運動靴では登れません。モンブランだってジーパンと運動靴では登れません」

●登ろうとも思いません!(笑)

「もちろんそうですよね。でも、実際に登れないわけですよ。アイゼンもないし。モンブランみたいに登れなければ、登ろうと思う人は装備を揃えるわけですよね。でも、富士山の場合は登ろうと思っても、装備をそろえなくても登れるんだったらいいだろうという、だろう運転の方が日本の山には多いような気がするんですよ。
 で、その結果、本当に天気が良かったら問題がないんだけど、例えば、雨が降るとか、夏の富士山だったらみぞれが降ることなんて珍しくないですしね。当然、富士山の場合だったら、高山病で調子が悪くなっちゃうなんてことで、じっとうずくまっちゃって、そこに氷雨なんて来たら疲労凍死になったって不思議じゃない。
 というようなことで、この辺でもう1回、そんな気楽に登らずに装備もきちんとして、技術もキッチリ学んで、日頃しっかりトレーニングをして、体力を鍛えて行って下さいねと。そういうことがひるがえって、個人の健康になるんじゃないかなと思います」

自分の人生として、山との関わりを楽しもう

●去年、新日本百名山を発表された岩崎さんなんですが、スケジュールを見ると週に大体3つずつくらい、12月まで1年間かけて百名山に登る予定になっていますが、これ凄すぎませんか?(笑)

「いやぁ僕、山が好きなんでね。自分で自分の予定を見ながらニヤニヤしているんですけど(笑)。早登りをしようと思っているわけじゃないですから、自分が行きたいなと思うときに。全部がベスト・シーズンというわけにいきませんけども、行けるときにはめ込んで行って、いずれにせよ自分が好きで選んだ新日本百名山を中心に、1年過ごそうと思っているだけでもワクワクします(笑)」

●顔がニコニコなさってらっしゃいますもんね(笑)。

「無性に嬉しくて仕方がないです。今回の新日本百名山の提案は、ご年配になられたらちょっと難しいなと思われる山もたくさんあるわけですよね。そういうところは、さっさと行くのをやめてしまって、こういう良い山もあるよというのが提案のひとつで、例えば、岩手県から七時雨山(ななしぐれやま)というのを選んでありますけども、本当にボーッとしたいい山なんですよ」

●ボーッとした山なんですか?(笑)

「ええ。それから僕は、どうしても深田百名山の場合は頂上に立たないと登ったことにならないというような、そりゃ頂上に立たなければ登ったことにはならないわけですけど、頂上に立つことにこだわっちゃって、何がなんでも最短距離を往復してくるとか、台風が接近しているのに無理をして登ってしまうとか、大雨が降っているのに下山しようとしないというような問題が顕在化してきちゃったなと思うんです。
 なので、僕はそうじゃなくて、もっと自分の人生として山との関わりを楽しもうよと。そのためだったら頂上に立たなくたっていいじゃないかと。七時雨山だったら、登山口に七時雨山荘という素敵な山小屋があって、温泉もあります。もちろん晴れていたら登りますし、多少の雨でも登りますし、登らなくてもいいんじゃないんだけど、登ったほうがいいに決まっているんだけど、土砂降りの雨だったら行くことはないし、ちょっと体調が悪かったら無理に行かなくても、そこのテラスから七時雨山を見て、生ビールでも飲んで『あー、いい1日だったな』と思って帰ってきて、僕の新日本百名山にこだわらなくてもいいんだけど、『七時雨山に行って来た』ってマルをつけて、次の山に行く。だからあまり頂上にこだわらずに、その山とその周辺ですよね。
 短い人生だから出きるかぎり自分の人生が豊かになるような、山と旅を楽しむような色々な提案を盛り込んで、これはひとつのサンプルに過ぎないので、一人一人が自分で自分の新日本百名山を選んで、選んだ山とどのように関わろうかなと考えていったら、すごく豊かな人生になるような気がするんですよ」

烏場山に登ろう!

●岩崎さんの新日本百名山の中では、ベイエフエムの地元、千葉にも烏場山(からすばやま)というのがありますけども、これはどのような山なんですか?

「花嫁街道というのがあるんですね。僕、言葉っていうのがすごく好きなんです。キャッチ・フレーズという言葉があるように、素敵な言葉って人の心を捉えるものがありますよね。僕は千葉県の山もいくつか登って、鋸山(のこぎりやま)もいいし、伊予ヶ岳(いよがたけ)もいいし、富山(とみさん)もいいしっていくつもあって、『いいないいな、どこにしようかな』って思っていたんです。で、たまたま烏場山は登ったことがなかったんですが、そのキャッチ・フレーズが花嫁街道だったので、そのフレーズに惹かれて『よし! 千葉県はここにしよう』と思って登ったんです。
 この烏場山は和田町という地元の町の中にあるんですね。で、和田町役場のほうから電話があって、和田町役場とのジョイントのイベントということで、1月22日、23日に登るということになりますけども、それで下見をしてこようかなって思って、実は12月に行ってきたんですよ。そしたらいい山でしたね。中高年の方や子供さん、あるいはそんなに歩けない人でも安心して歩けます。
 まず高度差がそんなに大きくないんですよね。その登山口からちょっと登ると、慣れない人にとっては最初のひと登りがちょっと急坂ですけども、それを登るとたおやかな尾根道になっているんです。それで千葉は日本でいえば南のほうじゃないですか。だから、照葉樹林っていうのかな、いかにも千葉の房総らしい自然林の中に山道があって、所々展望が開けていてブワーッと見えて、ちょっと雨が降っていたんですが、山が煙って、標高200mちょっとだと思ったんだけど、深山にいるような感じでね。3〜4時間ゆっくり歩いてそんなものですからね。で、下りればお魚はおいしいはずでしょう」

●楽しみがいっぱいあるんですね。関東圏でそれ以外にもオススメの山があれば教えていただけますか?

「いっぱいあります。神奈川県からはやはり何と言っても箱根の山から。箱根の山の最高峰ということで、神山(かみやま)というのを選んであります。とにかく箱根に行って、登山電車もあるし、ロープウェーもありますからね。茨城県からは奥久慈男体山(おくくじなんたいさん)という、日光の男体山と同じ男体山という字なんですけど、水戸から水郡線で入っていって、男体山から縦走していくと袋田の滝という有名な滝のある、そこへ山道を歩いて行けるんですけどね。この奥久慈男体山がもっこり盛り上がった岩山で、存在感があるんです。あともうひとつ、水戸からの水郡線がとてもいいんですよ。ボーッと車窓を見ているだけでも幸せになっちゃう」

●それぞれの山の個性ももちろんですけど、そこの山に至るまでの旅も、風情があって楽しいものなんですね。

「そうですね。僕は、トータルで山と関わっていきましょう、頂上だけが山じゃないでしょうというのを、この新日本百名山では大きなメッセージとして送っていきたいと思っているんです」

●2005年はザ・フリントストーンも山を歩くぞ! 山ともっと違った付き合い方をしていこうと思います。どこか岩崎さんにご一緒していただいて、今度は実際に山を歩きながらお話をうかがいたいと思います。今日はどうもありがとうございました。

「こちらこそ。所々でレポートさせて下さい。ありがとうございました」

■このほかの岩崎元郎さんのインタビューもご覧ください。

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■登山家/無名山塾・主宰「岩崎元郎」さん情報

・「岩崎」さんが主宰する「無名山塾」には中高年を対象とし、それぞれの目的・技量に応じた登山教室が3つあります。入会資格は山が大好きで心身ともに健康な50歳までの男女。入会金は1万円、年会費は1万2千円、山岳保険料8千円の計3万円が必要です。

・また、「新・日本百名山」を「岩崎」さんと登るツアーや、各種登山ツアーなども行なっています。

・いずれも詳しくは無名山塾 東京03−3941−3481まで、お問い合わせください。

・無名山塾にはホームページもあります。 (http://www.sanjc.com/

また、「岩崎」さんの「新・日本百名山」の登頂レポートは、ゴールドウイン/ラテラのホームページに掲載されています。ぜひご覧ください。
http://www.goldwin.co.jp/laterra/iwasaki/index.html

・また、朝日マリオン・コムのサイトでは、今まで朝日新聞に掲載された岩崎さんの新日本百名山についてのコラム、「スローに楽しむ新日本百名山」の今まで掲載されたものが読めるようになっていますので、是非そちらもご覧になって下さい。
(http://www.asahi-mullion.com/mullion/column/hyakumeizan/list.html

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. HAPPY NEW YEAR / ABBA

M2. EVERY MOUNTAIN / BONNIE TYLER

M3. ADVENTURES IN PARADISE / ACE OF BASE

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4. 雪だより / 松任谷由実

M5. STANDER ON THE MOUNTAIN / BRUCE HORNSBY & THE RANGE

M6. 晴れたらいいね / DREAMS COME TRUE

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M7. A DREAM IS A WISH YOUR HEART MAKES / LINDA RONSTADT

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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