2005年1月9日

エコプロダクツ2004・取材レポート

レポーターの弓月ひろみさん
弓月ひろみさん

 2004年12月9日〜11日に東京ビッグサイトで開催された国内最大級の環境総合展示会、地球と私のためのエコスタイル・フェア「エコプロダクツ2004」の取材レポートをお送りいたします。今回で6回目を迎えたこの展示会には過去最大の453の企業・団体が出展、3日間の期間中におよそ12万5千人の来場者がありました。その中で番組取材班が見つけた、今、注目の家庭用燃料電池や、生ゴミが消えてなくなるゴミ処理機ほか、折れたバットを材料にしたユニークな製品の情報などを、番組初登場の取材レポーター「弓月ひろみ」さんとともにお届けします。

エコプロをキッカケにしよう!

エイミー(以下:エ)取材レポーターは「弓月ひろみ」さんです。よろしくお願いします。では早速「弓月」さんに伝えてもらいましょう。

弓月(以下:弓)初めて「エコプロダクツ展」に行って、いろいろ見てきたんですが、会場も広く、出展している企業や団体も多かったので、なにをどうしたらいいのか、わかりませんでした。それで、パンフレットを見たら、「会場内エコツアー」というものがあったので、早速参加してみました。

エコツアー中の写真

 この会場内エコツアーは全部で7つのコースがあって、私が参加したツアーは「持立真奈美(もちだて・まなみ)」さんという方がガイドする「快適・健康エコライフ・ツアー」。「環境負荷の低いくらし」というテーマにそって、企業や団体(グリーン購入ネットワーク、植林事業を行なっているビーボコーポレーション、フェア・トレードのコーヒーの試飲や販売を行なっていたピース・ウィンズ・ジャパン、間伐材の利用などを進めるFoE JAPAN、環境配慮型製品を出展した凸版印刷)を回りました。また、ツアー後にFoE JAPANのブースで、間伐材を材料にしたハガキ作りをしました。
 50分ほどのツアーが終わってからガイドしてくださった「持立真奈美」さんにお話をうかがいました。
 「持立」さんは小学生のころに、将来は環境を守る仕事がしたいと思い、現在、環境に関することを、中・高校生、企業の社員に教えたり、企業向けの環境コンサルティングを行なったりしている方なんですが、そんな「持立」さんに、エコプロダクツ展で一般の方々に何を感じて欲しいか聞いてみました。

持立真奈美さん

持立さん「漠然とこういう方向に行きたいと思っていても、どうしたらいいのか分からないということで、こういうエコプロダクツ展みたいに色々な企業とか団体が集まっているところでは、そういう取っ掛かりとして情報をどこからとればいいのかというのも分かります。なので、このエコプロダクツ展に関してはまずそういう取っ掛かりとか、人との出会いの場でもあるので、それを活かしてもらいたいなと思います。あとは、身近にどういうことが起こっているのか、私達が気付かない間に遠い国の人達の生活とかにどのような影響を与えているのかを、具体的に出来る出来ないというよりは、そういう現状が起こっているんだというのを、知っていただく機会になればという風に思っております」

家庭用燃料電池の現状は?

(エ)続いてのレポートはなんでしょう?

(弓)はい、今回の「エコプロダクツ展」の開催直前に、東京ガスが「家庭用燃料電池」を貸しだすという発表を行ない、話題になりました。そんな「家庭用燃料電池コージェネレーション・システム」が、東京ガスのブースに展示されていたので、取材してきました。
 燃料電池とは、簡単にいうと、酸素と水素を化学反応させて、電気を作るシステム。燃料電池を搭載した車は既に実用化され、官公庁などで使われていますが、今回、やっと家庭で使える燃料電池が出てきたという感じなんです。
 今回展示された家庭用燃料電池のシステムは、東京ガスが松下電器産業、そして荏原バラードと共同開発したもので、自然界には存在しない水素を、都市ガスから取りだしているのがポイントなんです。そんな家庭用燃料電池の特徴について、東京ガスの「仙石雅隆(せんごく・まさたか)」さんに聞いてみました。

家庭用燃料電池

仙石さん「私どもが提案させていただいている家庭用の燃料電池というものは、燃料電池によって電気を作るときに出る熱を利用して、それをお湯にして溜めておいて給湯も出来るようになっています。また、発電所で捨てられていた熱というのをお湯を作るために有効利用出来るということで、エネルギー効率が高いというものです。
 電気がどのくらいできるかということなんですが、約1キロワットの電気ができます。これがどれくらいかといいますと、ご家庭で1日に使われる電気の約6割をまかなうことができます。で、お湯のほうなんですけど、お湯はご家庭で使われる量のほぼ100%をまかなうことができます。電気が約6割ということなので、4割程度は電力会社さんのほうから買っていただくというふうになっております」

(弓)今説明にあったように、今回展示されていた家庭用燃料電池のシステムは発電する「燃料電池ユニット」と、発電するときに発生した熱をお湯にして貯めておく「貯湯(ちょとう)ユニット」に別れています。
 電気とお湯の両方を得られる優れ物なんですが、環境に優しいところはどういう点なのかうかがってみました。

東京ガスの仙石さん

仙石さん「家庭用燃料電池で発電しますと、もともと入ってくるエネルギーというのが、天然ガスになります。天然ガスは水素を取り出すときに、二酸化炭素が最も少なく済む燃料なんですね。それで、環境にやさしいというのが1つあります。それから、2点目が先程申し上げたように、発電するときの熱を使って給湯用のお湯を作りますので、エネルギーの利用効率が非常に高いということで、従来、電気は電気、給湯は給湯と別々だったものを一緒に作ってしまいます。廃熱を使ってお湯を作るということで非常にエネルギー効率がいいので、それで省エネになり、結果的にCO2が少なくて済むということで、環境性に非常にいいということになります」

(エ)これはいつから使えるようになるんですか?

(弓)貸し出しは2月8日からで、現在、申し込みの受け付けを行なっています。料金は10年間で100万円。ガス料金は別です。対象は東京、千葉、神奈川、埼玉の南部の、一戸建てを対象にしています。マンションに置けるものは今後の課題となっています。
 お問い合わせは、東京ガス・家庭用燃料電池の窓口 0120−593039まで。
 ちなみに去年12月に、東京ガスに続いて、新日本石油が家庭用燃料電池システムを、今年3月から貸しだすと発表しています。

「かっとばし!!」ってな〜んだ?

(エ)取材レポーターの「弓月ひろみ」さん、次はなんでしょう?

(弓)会場でこんなものを見つけました。一見、普通のお箸で、名前は「かっとばし!!」といいます。材料はもちろん木なんですが、もともと「あるもの」だった木を材料に作っています。その「あるもの」とは、野球で使うバットなんです。
 では、なぜこれを作ることになったのか、「株式会社 兵左衛門(ひょうざえもん)」の「殿島洋一郎(とのしま・よういちろう)」さんにうかがました。

かっとばし!!

殿島さん「もともと、ウチの会社の社長が昔から野球をやっていた関係で、知り合いにプロ野球関係の方だとか、色々な方がいらっしゃったんですよ。それで、ウチはもともと箸のメーカーなので、常日頃からお箸にできる材料を色々と探していたところで、北海道に非常に美しい白木のアオダモという木があるというところに行き着いたんです。昔からその木でバットが作られていたのは知っていたんですけど、それがプロ野球だけでも毎年2万本くらい折れるんですよ。それが、今まで折れると、みなさん野球中継を見られていても分かると思うんですけど、用具係の人が拾ってそのまま全部捨ててしまうんですよ。つまり、今まで北海道の山の木を切り落とすだけ切り落として、バットになるまで70年かかった木を、折れたら捨ててしまっていたんですね。環境的にも非常に良くないですし、何かこれを再利用できないかというところで、お箸にしようということを思いついたんですね」

(弓)この会社はお箸のメーカー! バットに目を付けたのは凄いですよね。それ以上に驚いたのが、プロ野球で年間およそ2万本のバットが折れて捨てられていたこと。2万本って多いですよね。
 この「兵左衛門」ではプロ野球12球団から折れたバットを回収して再利用しています。さらに、ある大学の教授が試算したところでは、プロ・アマ含めて、年間20万本のバットが消費されているそうです。
 ここの会社が素晴らしいのは折れたバットを再利用しつつ、植林事業にも協力していることなんです。それについては「殿島」さんはこう語っています。

兵左衛門の殿島さん

殿島さん「『アオダモ資源育成の会』というNPO法人があるんですけど、そちらが中心となって、毎年北海道の山のほうにアオダモの苗を植えるという事業をやっていました。これは『かっとばし!!』事業が始まる前から、ピン・バッジを買うという運動から始まったんですけど、なかなかピン・バッジだけではお金を集めるのは難しいのと、社会的な注目を集めるのが難しかったんですけど、それがこの『かっとばし!!』事業のおかげで、メディアにも度々登場させていただいておりますし、みなさんの協力が得やすくなったというのもあって、毎年プロ野球選手と子供達が一緒に植林をするというのをやっております。
 バットというのは、苗を植えてからバットになるまで育つのに70年くらいかかるんですね。そういう意味で未来のバットを育てるのとともに、未来の野球少年たちも応援していこうということで、その基金を使って野球を応援しようという活動をしております」

すべりこみ

(弓)「株式会社 兵左衛門」ではお箸の「かっとばし!!」のほかに、「ブルぺん」というボールペン、靴べらの「すべりこみ」を販売。お値段は「かっとばし!!」で1500円から1800円、「ブルぺん」で1600円、「すべりこみ」で3000円。都内では東急ハンズや東京ドームなどで販売しています。今年さらに10アイテムを販売予定で、ネーミングに苦労しているそうです(笑)。
 お問い合わせは株式会社兵左衛門・東京営業所:03−3865−1184まで、どうぞ。

ペットのバイオちゃん(笑)

(エ)「エコプロダクツ2004」の取材レポート。「弓月ひろみ」さん、次はどんなものを紹介してくれますか?

(弓)次はシャープの家庭用生ゴミ処理機です。“生ゴミが消えてしまう”ということで大変話題になっています。 
 ゴミが消えるとはどういうことなのか、シャープの「深田辰雄(ふかだ・たつお)」さんに説明していただきました。

家庭用生ゴミ処理機

深田さん「簡単な原理を説明させていただきます。まず、生ゴミというのは4人家族のご家庭で、1日大体700gくらい放出されます。この状態のものを中に入れていただきますと、バイオの力によりまして発酵をして分解します。この分解したものがどこに行くのかといいますと、水蒸気と炭酸ガスになります。だから、もの(生ゴミ)がなくなっていくというのが1つの原理になっています」

(弓)つまり、バイオの働きでだんだん生ゴミが分解され、水と炭酸ガスになって、最終的には完全に消えちゃうそうです。24時間後の、ごくわずかになった、乾燥した生ゴミの臭いをかぎましたが、ぜんぜん臭くありませんでした。
 具体的には、生ゴミ処理機の中にバイオの棲み家となっている、おがくずのような木のチップが入っていて、絶えず「かくはん」されています。その中に生ゴミをいれるだけでOK。人間が食べられるものなら、なんでも入れて構いません。だめなものは、貝殻、牛や豚、鶏などの大きな骨、梅干しなどの硬いタネ、たまねぎの皮、とうもろこしの皮などとなっています。
 バイオが入った木のチップは半年に1回かえるだけで十分なんですが、そのバイオを元気するにちょっとした秘訣があると「深田」さんはおっしゃっていました。

シャープの深田さん

深田さん「バイオは生き物ですから、僕はペットのように『バイオちゃん』と呼んでいるんですけど(笑)、絶えず生ゴミは入れていただく。時々、魚の白身とか肉を切り刻んで入れてやると、かなりバイオは喜んでくれますので(笑)、非常に体力がよくなります。そうすると一生懸命処理をしてくれるんです。1つのペットを飼育しているという感覚で接してやるのが、長く使っていただく秘訣かなと思います。
 一般的に、普通のゴミの3分の1が生ゴミといわれていて、年間約1000万トンのゴミが出ています。なので、各家庭に1台常備していただきますと、その分のゴミがなくなりますから、地球の環境にとっては非常にいいですよね。是非、ひとりでも多くの方に使っていただきたいと思います」

(弓)「バイオちゃん」、いいでしょう〜!(笑) シャープの家庭用バイオ式生ゴミ処理機、現在、2人用と4人用とあって、お値段はオープン価格で7万円から7万5千円くらい。量販店ではもっとお安く手に入りそうです。電気代は1日10円、1ヶ月で300円。バイオ入りの木のチップは6300円となっています。
 キッチンいつも清潔、生ゴミを出す手間やあのいやな臭いから解放されますし、魚介類の、どうしても臭いのきついものは臭いを抑える機能も付いているんです。
 お問い合わせはシャープ・エコーライン 0120−078−178まで。


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■「エコプロダクツ展」関連の情報

○東京ガスの「都市と住まい展スペシャル」

 2月7日(月)から12日(土)まで、東京ビッグサイトで開催されるこの展示会では、暮らしや住まいの様々な提案が行なわれます。目玉は今回「エコプロダクツ展」で展示された「家庭用燃料電池コージェネレーション・システム」。この機会にぜひご覧ください。さらに期間中は毎日楽しいイベントが行なわれます。舞の海さん、デューク更家さん、お笑いの原口あきまささん、はなわさん、そして元若乃花の花田勝さんほかが登場。入場は無料です。
 お問い合わせ:事務局 0120−979−906

○樹木・環境ネットワーク協会の検定制度「グリーンセイバー」
道具まゆみさん

 今回の「エコプロダクツ展」にも出展していて、以前この番組でもご紹介した「グリーンセイバー」の検定試験が6月5日に全国5ヶ所の会場で行なわれますが、そのためのセミナーが今年も開催されます。
 ベーシックのセミナー:3月26日(土)〜3月27日(日)
 アドバンスのセミナー:4月23日(土)〜4月24日(日)
 会場:日比谷公園内の「水と緑」の市民カレッジ。
 受講料:いずれも17000円。
 今年10周年を迎える樹木・環境ネットワーク協会の「道具(みちぐ)まゆみ」さんから、エコプロダクツ展の会場でこんなメッセージをいただきました。

道具さん「グリーンセイバーというのは、『緑の声が聞こえる人になりませんか?』というキャッチ・フレーズで、みなさんにお知らせをさせて頂いております。身近な緑や環境を良くしていきたいなとお考えのみなさん、是非、グリーンセイバーにチャレンジして一緒に活動をしていきましょう」

 グリーンセイバーに関するお問い合わせ:
 樹木・環境ネットワーク協会/03−5366−0755

○エコプロダクツ2004のホームページ

 今回の2004年の来場者数や、来年の開催日程、行われたイベントの投票結果が載っているこのページ、是非チェックしてみて下さい。出展者の情報なども載っています。
 HP:http://eco-pro.com/

■このほかのエコプロダクツ・取材レポートもご覧ください。
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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. WHAT HAPPENS TOMORROW / DURAN DURAN

M2. LIVING IN DANGER / ACE OF BASE

M3. DREAM HOUSE / JOHN EDDIE

油井昌由樹アウトドアライフ・コラム・テーマ曲
「FLASHES / RY COODER」

M4. SHINE A LIGHT / ROLLING STONES

M5. START A NEW LIFE / REO SPEEDWAGON

M6. GOOD FOR ME / AMY GRANT

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M7. EVERGREEN / LUTHUR VANDROSS

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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