2009年5月24日

州制定50周年を迎えたハワイの見所・丸分かり
〜ハワイのスペシャリスト・近藤純夫さんをゲストに迎えて〜

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、近藤純夫さんです。
近藤純夫さん

 ハワイに精通するエッセイスト、翻訳家の近藤純夫さんをゲストに、ハワイ州制定50年を記念して進められているプロジェクトのお話などうかがいます。

 

50周年を記念して、ハワイの観光は体験型へ

●近藤さんはケイビングのスペシャリスト、そして、ハワイのスペシャリストとしてたくさんの本を出されていらっしゃるんですが、実は今年2009年はハワイがアメリカの州になって制定50年という区切りの年だそうですね。その50年を記念して色々なプロジェクトが進んでいるそうですね。

「はい。2009年がハワイ州となってちょうど50年目。意外と短いんですけど、この50年を記念してハワイの伝統的なものをもう1回見直そうとか、『ハワイの自然ってこんなのがあるんだよ』とか、今までのリゾートに加えてさらに多くのものをということで、2回目のハワイ、2つ目のハワイということで、ハワイのもうひとつの顔をみなさんなりに見つけて欲しいというプロジェクトですね。」

●やっぱり、50周年ということで、ハワイでも盛り上がっているんですか?

「そうですね。ちょっと面白い構造といいますか、ハワイ州と観光局が多分、期待していることというのは、もっと色々なものを見て欲しい。そのために準備もたくさんするけど、そういう部分では今までと同じパターンなんです。準備したから見てねっていう感じですね。で、そうじゃなくてもうひとつ、自分で扉を開けて、自分の足で、そして自分の目で見るということを体験して欲しいと。そのきっかけを提供しましょうということが、2009年のハワイでは色々な形で行なわれています。だから、ある意味ではサポートをしているといってもいいですよね。資料を作って提供して、『こういうところあるよ。行ってみたらどう?』とか、映像だとか、スピーチだとか、そういったものでもって、新しい世界を知ってくださいねとか、色々な形のちょっと知的な、買い物ももちろん楽しいし、リゾートのホテルに泊まるっていうこと自体も、一番大きな目的かもしれないんだけど、もうちょっとプラスしましょうっていうのが50周年かなという気がしますね。」

●そんな中で、ハワイ50選っていうのは、日本でいう100名山みたいなものですか?

「そうですね。50のポイントを選んで紹介するということなんですけど、これが面白いのは、例えば、50のホテルとかリゾート・エリアとか、ビーチってだけじゃなくて、森であったりとか、動物であったりとか、伝統的な催し物だったりとか、今までとちょっと違うようなものも、たくさん取り上げているんですよね。今まではどちらかというと、ホテルの中の色々なアクティヴィティみたいなものがメインになっていたハワイの観光が、自分の足でちょっと歩いてみましょうとか、目で見てみましょうとか、味わってみましょうとか、嗅いでみましょうというような体験型に変わるためのソースを提供するようになってきたんですね。で、このハワイ50選っていうのは、そういう意味では『えっ!? これ、ハワイ州観光局が出したの?』っていうくらい自然と文化に満ち溢れています。」

●近藤さんも関わっていらっしゃるんですか?

「僕は制作自体には関わっていないんですけど、この50選を通してプロモートするような文章を書いたりしています。で、僕が個人的に思うのが、この50選はみなさんのきっかけ作りであって、自分たちそれぞれの50選、または100選を作って、で、それをまた口コミででも色々な人に伝えていって、もっと深い楽しみ方をしてもらえるものじゃないかなと。ハワイ州観光局もそういう意味で作っているような気がします。もっとお金を使ってくれればいいっていうのはあるかもしれないけど、確実にそれだけじゃなくなっているっていうのが、50選というハワイ州の50周年を記念して始めた新しい試みかなと思います。」

 

ハワイのスペシャリスト近藤さんに聞く、
それぞれの島のオススメポイント

●ハワイ50選には本当に色々なスポットがあると思うんですけど、近藤さんがそれぞれの島でおすすめのポイントを挙げていただけますか?

「はい。まず、一番大きな島ハワイ島。ハワイ島に行ったときには、まず、何はなくとも高い山に登ってみましょう。車で行ける山もあります。で、昔からハワイの人たちは、高いところには強いエネルギーがあると信じてきました。ハワイ語でマナというんですけど、大きなマナがあって、必ずそれをもらうことができるって今も信じているんですね。僕はひねくれていますから(笑)、『それはまぁ、ハワイの人だからね』って思っているんですが、例えば、マウナ・ケアという4200メートルもある山に登るんですけど、これまでに何十回と登って、その感動を得なかったことがない。それは色々な形の感動で、個人的なものでもあるし、何かがささやいたっていうことでもないけれど、確実に自分に響いてくるものがある。だから、ハワイ島には高い山がいくつもありますので、是非、許されるならば、ツアーでも何でも参加して、高いところに行って、自分の気持ちをもう1回洗ってみるっていうのは、いいんじゃないかなと思います。全ての島を通じて一番いいんじゃないかな。ちょっと自分を振り返られるかなと思います。
 で、隣のマウイ島。マウイ島はリゾート系のものがとても多いところですけど、実は南のほうに行くと、ハワイ島とあまり変わらない光景がたくさんあるんですよ。溶岩がダーッと流れていて、人もほとんどいないようなところ。このあたりの海辺というのは、多分、ハワイ諸島の中でも1、2を争う熱帯魚のスポットなんです。ものすごく美しい海の世界が広がっているんですね。で、サンゴ礁や魚を保護する色々な公園ができているくらいですから、リゾート地はないんですけど、車ですぐ行けますので、是非、南の海を楽しんでいただくといいと思います。
 で、モロカイ島、ラナイ島は、ハワイ50選にも載っています。この島に行くのは、ホノルルからでも飛行機で一直線で行けるんですが、年間に訪れる日本人っていうのは、数百人とか1000人というレベルでほとんど知られていないんですね。で、ホテルも少ないし、舗装した道路もほとんどない。信号は全くないというようなところですけど、でも、そこでしか味わえないものっていうのがあります。それは、タイムスリップしたような感覚といったらいいでしょうかね。その古さを島の人たちはみんなで守っている。で、そういったものに自分が2日でも、3日でも体験し続けると、確実に自分の中の何かが変わります。だから、僕はいつも言うんですけど、暮らすならハワイ島がいいけども、1週間くらいのロング・ステイだったら、モロカイ島がいいな。

近藤純夫さん

 そこからもっと離れると、海を挟んでオアフ島があります。ホノルルのある島ですよね。ホノルル周辺、ワイキキ・ビーチのあたりっていうのは、みなさんが行くところなので、あえて説明することはないと思われているんですけど、ビーチ沿いでも意外に行かない場所っていうのはたくさんあるんですね。例えば、戦勝記念館っていうのがありまして、これはカピオラニ公園のちょっと先、ワイキキ水族館の近くなんですけど、この戦勝記念館の先のビーチに行くと、見事に海の色も変わって、風の流れも全然静かで、素晴らしい環境がある。しかも、歩いて行ける場所です。反対側のアラモアナのほうに歩いていくと、どこまで行っても人がいますけど、反対側へ行きますと、見事に人が消えます(笑)。しかも、今の人たちは知りませんけど、カピオラニ公園のあたりは、ほんの100年前までは海だったんです。全部、埋め立てたんです。というか、ワイキキって全部、湿原地帯だったんです。お米とかタロイモを作っていたんです。ところが、アメリカの業者でお金を稼ぎたい人たちが、『ここを開拓したら儲かるぞ!』と思ったんでしょうね。それで、ワイキキの北側にアラワイ運河っていう運河があるんですが、あの運河ってもともとは何も存在していなかったんです。あそこの土を掘って湿地帯を埋めていったんですね。だから、土がなくなって運河ができたんです。で、そういう場所だから海の中は複雑に変化に富んでいて、魚もいっぱいいるし、ワイキキのほうっていうのは、外洋からの水でどうしても砂がとられてしまうので、防波堤を作ったりして、どうしても閉ざされた感じがあるけども、あっちは完全にオープンですから、開放感に浸って楽しめる。しかも、周辺にあるホテルがみんな小洒落ていますから、お茶をするのでも、ランチをするのでも、ちょっと楽しいというか雰囲気がいいですよね。混んでいないし。オススメです。」

●今、紹介していただいただけでも、お休みをとって1ヵ月くらいじっくりとハワイに行って(笑)、各島を楽しめそうですね。

「そうですね。ただ、オススメはどの場所でもそうなんですけど、なるべく移動しない。着いたら、帰るまでずっと同じところにいる。日本人はどうしても『あっちへ行ってみよう、こっちへ行ってみよう』っていうのが好きなので、もったいないっていう意識になっちゃうんですけど、そこを騙されたと思って、1日ではなく、2日か3日くらいは動かない。で、食事をするにしても何にしても、足だけで移動する。そうすると、3ヵ月分くらいのハワイ滞在の体験を得ることができます。これは、やってみないと分からないでしょ?」

●分からないですね。

「絶対ですから、オススメします。」

 

世界初のフラ・ミュージアム、現在進行形で進化中!

●日本にもハワイはありまして、映画にもなりましたけども・・・。

「福島県にありますね。」

●はい。福島県いわき市にあるスパリゾート・ハワイアンズ。

「映画『フラガール』がヒットしましたね。」

●「フラガール」のおかげで改めてスパリゾート・ハワイアンズに注目が集まったと思うんですけど、そんなスパリゾート・ハワイアンズに世界初のフラ・ミュージアムがあるそうですね。

「そうなんですよ。一昨年の秋にオープンしたんですけど、妥協をしない、本物を見せたいという社長のお声があったそうで、それと僕が繋がるかどうか分からないんですが(笑)、呼ばれまして、ミュージアム全体の内容に関して、お手伝いをさせていただいています。で、『フラガール』という映画はカレイナニ早川さんが主役の物語なんですけど、その早川先生と私とで色々とミュージアムのほうの中身を決めて行ってやっています。ただ、フラに関わっている人たちにとっては、『おぉ!』っていうようなものになったと自負しているんですが、一般の方たちに楽しんでもらうという意味ではまだ敷居が高いので、色々な工夫をしています。その第1弾として、今まで色々な人たちとお付き合いがあるので、ハワイがらみのカメラマンとか、イラストレーターとか、漫画家の方に協力をお願いして、フラ・ミュージアム・オリジナル・フォトカードを作りまして、それを大々的にドーンと展示をして売るようになりました。それを、きっかけにして、そういう方たちのスピーチのイベントだとか、写真の個展だとか、スタートしたばかりなんですけど、これからそういったものをみなさんに紹介していきたいですね。あと、体験もありまして、レイ・メイキング。ハワイの生花をちゃんと用意して、レイ・メイキングをやっていらっしゃる方とやるレイ・メイキングだとか、ハワイアン・キルトの教室だとか、そういったものもミュージアムでできるように今、着々と準備をしております。」

●オープンしてまだ2年ということは、これからも変わっていくと思うんですけど、近藤さんたちがフラ・ミュージアムを立ち上げるに当たって、一番こだわったところを教えていただけますか?

「ちょっと込み入った話なんですけど、今、一般的にフラのことを知らない方たちが、フラダンスっていって見るのがアウアナといわれている種類の踊りなんですね。で、アウアナっていうのは“現代的な”っていう意味を持っているんですけど、女性ですからお化粧をして、華やかな衣装を着て、しなやかに踊るという印象を持っている。これがフラのイメージだと思うんですけど、実はこのフラの歴史っていうのはほんの数十年しかなくて、その前に1000年以上もの間、長々と続いて、後にハワイに根を下ろした文化ともいえるフラの歴史があるわけです。それが、カヒコといわれるフラで、これはお化粧はダメ。服装もシンプルに。本当に真剣だし、体力も要る。信仰心も要る。色々なものを得たあとで初めて踊れるもの。そういった踊りの中にハワイの色々なエッセンスが組み込まれているんですね。で、フラを知ることで、実はハワイの文化のほとんどを知ることができるので、それをメインに置いた展示をしようということ。もちろん、これまではなかったし、ハワイにもフラのミュージアムはありませんけど、それから視点がぶれないようにドンとやりました。やりすぎちゃったかもしれないですけど(笑)」

●(笑)。ということは、以前、近藤さんはフラの本も出されていらっしゃいましたけど、あの本を読んでフラ・ミュージアムのほうに行くと、なんとなく深いところの意図も見えてくるわけですね。

「そうですね。しかも物も置いてありますし、映像もあります。そして、楽器もほぼすべて置いてあって、触れて音を出すこともできます。」

●楽しそうですね!

「そうですね。今、もうすぐ香りの演出も始まります。」

●香りの演出?

「はい。例えば、フラをやっている方たちにとって、話題になる植物っていうのがいくつかあるんですけど、その中で特に重要といわれているものの中でマイレと呼ばれる葉っぱがあるんですね。レイっていうのは香りが大事なので、『そのマイレの葉っぱはどういう香りなの?』って聞かれても、『甘い香りだよ』、『バニラのような香りだよ』とか色々いわれても嗅がないと分からないじゃないですか。で、マイレだけは常に補充をして、香りが長持ちするので、香りがなくなる前に新しい物を輸入してっていうのを繰り返して、嗅いでいただいている、というか横を通るだけで香ります。それだけじゃなくて、ハワイにはレイに使うとても大事な花っていうのがいくつかあるので、その香りを全部用意して、全部嗅いでいただこうと思っています。」

●じゃあ、フラ・ミュージアムに入った瞬間にそこにハワイがあるって感じなんですね。

「そうですね。」

 

ハワイはニューヨーク以上に人種のるつぼ

●今年はハワイがアメリカ合衆国の州になって50年ということで、そんな記念すべき年に、ハワイ出身のオバマさんがアメリカ合衆国の大統領になり、「CHANGE YES WE CAN」っていうキャンペーンで就任されたわけなんですけど、そういう意味でいったら今後はハワイを訪れる私たち外国人も気持ちの上でもチェンジをしていくっていうのがいいのかなぁって、キレイにまとまるシチュエーションができましたね(笑)。

「できましたね(笑)。オバマさんもそうですけど、ハワイ人の最もすごいところっていうのは、異なるもの、異質な文化っていうものを全て認める、その土壌は本当に世界でも少ないと思います。僕たちが教科書で“人種のるつぼ”という言葉を習ったときはニューヨークとかをイメージしていたと思うんですね。ハワイはそれ以上の人種のるつぼですけど、ニューヨークとは完璧に違うところがあります。それは、全ての人種を認めている。ハワイで人に向かって『あなたのお父さんは何人?』って聞くのはナンセンス。ありすぎるから。『10個くらい入っているかなぁ』っていうね。そんなことを問うても意味がないくらい。だから、あるときには白人がいじめられて、あるときにはハワイ人がいじめられて、日本人がいじめられたってことがあるかもしれないけど、あまりにも血が入っているから“何人が”なんて言い方をすること自体にもう意味がない。だから、ハワイで人との付き合いを知るっていうことは、これから世界で人々が対応しなくちゃいけないことを縮図として置かれているものだと思う。だから、ハワイの中には楽しむという意味以外にも、すごく貴重な体験があって、みなさんを虜にしてくれるんじゃないかなって思っています。それは、僕が繰り返し行くきっかけにもなっていると思います。」

●ここのところは色々なハワイのご本を紹介していただいて、私も行かずしてハワイのことをすごく知っているわけなんですけど(笑)、近藤さんは最近、また新たなご本も出されるそうですね。

「僕がカルチャー・スクールでずっと教えてきた『ハワイ学』という講座をまとめた本を冬になると思うんですが、出すための準備をしているところです。少し時間はかかりますが。」

●「ハワイ学」っていうのは?

「これは講座の名前なので、本のタイトルは変わるかもしれませんが、書かれている内容はそれに近いものです。で、その内容とほぼ同じものが『アロハ カワラ版』というウェブ・サイトがありまして、そこにも書かれていますので、これがまとまったものだと思ってください。写真もいっぱい入れて、分かりやすいものにします。それこそ、次のステップを踏むためにはとても役に立つんじゃないかなと、個人的には思っています。」

●また本が出るときには番組でもご紹介させていただきたいと思います。

「バシリコという出版社から出る予定でおります。」

●これからも、ハワイに限らず色々な自然や文化に触れていかれると思うので、また番組でお話を聞かせていただければと思います。今日はどうもありがとうございました。

このほかの近藤純夫さんのインタビューもご覧ください。

AMY'S MONOLOGUE〜エイミーのひと言〜

 ザ・フリントストーンがハワイ取材を行なったのが今から11年前。そのとき私ははじめてハワイ島とマウイ島を訪れ、それまでのハワイ=ワイキキのイメージが完ぺきに変わりました。もちろんオアフ島とは違う島に行ったわけですから、イメージが変わるのは当たり前なのかもしれません。でももしザ・フリントストーンのパーソナリティーを務めることなく、プライベートでビッグアイランドやマウイを観光で訪れていたら、もしかしたら行かなかったかもしれないような自然豊かな場所で取材させていただいたおかげで、本当にディスカバー・アロハしてしまったのです!今回発表されたハワイ50選は本当にステキなポイントばかり。皆さんもぜひプレゼントに応募して、冊子をゲットし、次回のハワイ行きの参考にしてください。
 また、個人的にはスパリゾート ハワイアンズのフラ・ミュージアムもぜひ近々行ってみたいと思っています。

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1.  PARADISE / KALAPANA

M2.  HEAVENLY ISLAND / TERESA BRIGHT

M3.  GOOD VIBRATIONS / THE BEACH BOYS

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4.  MAHALOHA / 伊藤由奈 feat. MICRO

M5.  HULA GIRL / JAKE SHIMABUKURO feat. JENNIFER PERI

M6.  NOW AND FOREVER〜SWEET MEMORY / KEALI'I REICHEL

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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