2009年8月30日

オカリナ奏者・宗次郎さん、
ニュー・アルバム「オカリーナの森から」について語る

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、宗次郎さんです。
宗次郎さん

 オカリナ奏者の宗次郎さんをゲストに、豊かな森の中で、森からエネルギーをたっぷりもらって創作したニュー・アルバム『オカリーナの森から』についてお話をうかがいます。

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●宗次郎さんは先月7月にニュー・アルバム「オカリーナの森から」をリリースされたわけなんですが、まず、アルバム・タイトルにもなっている「オカリーナの森」は実在する森だそうですね。

「はい、そうです。これは茨城県の僕の自宅のすぐそばに、去年の夏からスタートした『オカリーナの森』という、交流館とか野外音楽堂とかを完備しているスペースなんです。森の中ですごくいい場所にあります。」

●それは元々あった緒川ふれあいの森っていうところの中に新たにオカリーナの森というセクションが作られたそうですね。

「はい。ふれあいの森っていうのも、20年も前にゴルフ場を作ろうということで管理をし始めていたんですけど、そのゴルフ場計画が中止になりまして、村がふれあいの森として都会の人にも市民にも、森と触れ合う場所を作ろうということで、ウォーキングできるようなスペースを作ってあったんですね。ですから、ふれあいの森全体は120ヘクタールくらいあるんです。で、その中にゲートがありまして、そこから歩いていきますと、一番上に平らなところがあるんですけど、そこの真ん中の一番いい2ヘクタール分くらいを僕がお借りしたんです。森の中なんですけど、空も広く見えるような場所もありまして、そこに交流館を建てさせてもらいました。
 全国にオカリナ・ファンの方がいらっしゃいますので、そういう方が一同に集まってオカリナの演奏をしたりとか、オカリナ教室をやってあげたりとか、そういうスペースを前々から造りたいと思っていたんですね。それで、今は常陸大宮市という市になっているんですけど、その市の方に色々お願いしましたら、『宗次郎さんがやってくれるんだった協力しましょう』ということで、町のほうと一緒に少しずつ始まったんです。

 オカリナっていうのは森の中で生音で聴きたいっていうふうに言ってくださる方が多いので、僕もそれが頭に残っていて、いずれはこの一角に野外音楽堂をコツコツ自分の手で作っていこうと思っていたんですね。で、市の方に『階段状の斜面にして、一番響きのよさそうなところを、何年かかけて野外音楽堂にしたいんです』っていうお話をしたんです。そしたら、市の方が『それはいいですね!』って言って、『じゃあ、音楽堂のほうは市で作ります』っていうことになったんです!」

●宗次郎さん、超ラッキーですね!

「ですので、僕は交流館を建てて、この先20年、30年かけて少しずつ作っていって、最終的に素晴らしいものにしたいって思っていたんですけど、音楽堂も一気に出来上がってしまいまして、本当にありがたい話ですね。2ヘクタールの中に交流館と音楽堂と、真ん中の一番平らなところは、僕、農業をやりたいという思いもあったので、野菜がいっぱい畑に植わっています。それから、笠間の陶芸家の知り合いが手伝ってくださって、オカリナを焼く焼成窯もレンガを組んで作ってくれているので、設備のほうはここにきて一気に整ってきました。
 交流館の2階にはレコーディング・スタジオも作りたかったので、それも完備して、都内のスタジオと同じくらいの機材がとりあえず揃っていますので、今回はそのオカリーナの森のスタジオで、オカリナとかパーカッションとか、そういうものはほとんどオカリーナの森でレコーディングしました。なので、今回はまさにアルバム・タイトル通り、オカリーナの森から生まれた音楽なので、それを全国に世界に発信できたらいいなと思っています。」

●そんな新しい場所で誕生した新しい音楽たち。そんなイメージで作られたのかなぁと私が勝手に想像した曲がありまして、それが「新たないのち」っていう曲なんですけど、この曲もオカリーナの森でコンポーズされた曲なんですか?

「そうです。あの森でずっとやっていたので、はい。」

●私のオススメ曲でして、宗次郎さんがオカリーナの森でワクワクウキウキしながら演奏している様子が伝わってくるような曲なので、聴いていただきたいと思います。

(放送ではここで、宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から
 「新たないのち」を聴いていただきました)

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●今回のアルバム「オカリーナの森から」は実在するオカリーナの森という森でレコーディングされて、基本的に曲もそちらで作られたということなんですけど、オカリーナの森で作ったことによって、これまでと違ったインスピレーションだったり、これまでと違ったところってありましたか?

「これまでと違ったというか、もともとあったものかもしれないんですけど、オカリーナの森は鳥たちの森なんですよ。行くと本当にたくさんの鳥が鳴いていまして、朝の4時くらいから色々な鳥が鳴きだして、明るくなる時間になると、また色々な種類の鳥がいるので、また違う種類の鳥が鳴いたりして、『こんなに色々な鳥がいるんだなぁ』って思うくらいなんですね。そういう自然の声がよく耳に入ってくるので、自然の森の響きを大事にできたらいいなぁと思う気持ちが新たに湧いてきて、鳥になった感じっていうのも作りたいと思ったんですね。森の中で響かせることをもっと大事にしたりとか、昔からそう思っていたことかもしれないんですけど、オカリーナの森に帰ると改めてそういうふうに思えるんですね。原点に返るみたいなところもあるので、都会で何日か活動して向こうに戻ると、僕でさえも本当にホッとしますね。で、普段は車も入れないような状況なものですから、物音も自然の音しか聞こえてこないような場所で、そこでどんな音を出してみようかなって思うと、本当に気持ちをまっさらにして真っ白な状態で考えられるっていうか。そうすると、鳥に近いような曲になったりとか、風のような感じとか、こだまの感じとか、森の中で楽しみたいって感じになるんですね。曲に出てきたものは昔から持っていたものかもしれないけど、気持ちは原点に戻って新たになったって感じはしますね。」

●個人的な印象なんですけど、ニュー・アルバムの「オカリーナの森から」って、今までより跳ねている曲が多いかなって感じたんですね。

「うんうんうん。」

●オカリナの音色って口笛に近いですけど、今、宗次郎さんもおっしゃったように鳥のさえずりに近いような音色が、今までより印象に残るかなって感じを受けたんですね。しかも、この「オカリーナの森から」、オープニングの1曲目が「小鳥たちの朝」!

「そうなんです。」

●きっとこのオカリナの音色で聴けるくらい、チュンチュンと騒がしいくらい鳥たちが鳴いているんだろうなって情景が浮かんできました。

「そうですね。朝からいい感じなものですから、野外音楽堂っていうのは交流館から2〜3分杉木立の間を歩いていった先にあるんですけど、音楽堂でオカリナを吹くと、本当に色々な鳥が昼間から鳴き始めて、普通は明け方が一番鳴き始めますから、その爽やかな朝を感じていただいたほうがいいなと。この森の雰囲気を味わっていただこうと思って、この『小鳥たちの朝』っていう曲を1曲目にもってきました。」

●オカリーナの森はこんなふうに森が明けていくというのを表現した「小鳥たちの朝」を聴いていただきましょう。

(放送では、ここで宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から
 「小鳥たちの朝」を聴いていただきました)

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●今回は森の妖精たちがそっと顔を出して出てきて、踊っちゃっているようなイメージの曲が結構あったんですけど、「森の舞曲」っていう曲もまさに妖精が出てきて、さらに動物たちも出てきて踊っているような曲なんですけど、これはどういうふうに生まれた曲なんですか?

「僕の頭の中には舞曲のような曲っていうのが常にあって、弾んだリズムのような、三連のような感じで弾んでいるんですけど、今回は色々な森の生きもの達が1列になって、みんなで行進しているような感じをイメージした曲なんです。CDのインナーの中にも写真があるんですけど、丘の上っていうか、夕焼けが見えるスペースがあるんですね。西の空に青空が見えるようなところで、そこに石垣があって、遠くに道が1本あるんですけど、その頂上を動物たちみんなで行進しているような、自分もその中の1人で、動物たちも楽器を持って行進して、その道をグルグルまわっているような曲なんですね。森の中の楽しい雰囲気っていうか、宮沢賢治の世界のようなところもあるんですけど、もっとそれを今の感じでヨーロッパ的に楽しくやりたいなと思った曲なんです。」

●そんな様子を思い浮かべながら聴いてください。

(放送では、ここで宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から
 「森の舞曲」を聴いていただきました)

 
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●茨城県常陸大宮市にある緒川ふれあいの森という大きな森の中の一角に去年作られたオカリーナの森。こちらはレコーディングもできて、ライヴもできて、森を散策することもできるという、宗次郎さんの大きなお庭のようなプライベートな場所のような気がするんですが、お散歩とか森の散策にもよく行かれるんですか?

「行きますね。朝の4時、5時には鳥が鳴き出して、僕も目が覚めるのが早くなりまして(笑)、日が差し始める頃の朝の光がキレイなんですよね。なので、カメラを持って下まで下りていったり、音楽堂のほうまで行って写真を撮ったりとか、ビデオ・カメラを持ってまわしてみたりとか、自分しか分からないキレイな瞬間っていうのを、あちこちで自分ひとりで発見しているような気持ちになって、『この時間のこの光はすごくいいなぁ』とか花が咲いていたりっていうのもありますし、最近特に自分の庭っていう感じがしてきましたね。」

●アーティストとして季節が移り変わっていく中で自然を感じるっていうのは、すごく大切なことなんでしょうね。

「そうですね。日本の場合は特に四季っていうのがありますから、その四季の感覚を体で分かっているほうが感性としてはいいんじゃないかあぁと思うんですね。今の場所も、引っ越してくる前に、ここ4〜5年で改めて見に行ったのは真冬だったんですけど、ほとんど葉っぱは落ちていて、山も当時は荒れていたものですから、フジヅルに巻かれていたりとか色々するんですけど、そんな中でもある程度太くなっている木がきちっとあって、ここの山を下草刈りをして掃除をしたら絶対キレイな森に戻るなって思ったんですよ。ゴルフ場の予定地だったからまだ中途半端で荒れていたけど、ちょっと人の手が入ったら、キレイな森になるって直感しましたね。

 今はもう下草刈りをしてキレイになっているんですけど、それが春先になると、紫色の新芽が出てきて、それがすごくキレイなんですね。さらに、5月の連休の頃になると、新緑が淡い緑から濃い緑まで色々な緑があってさらにキレイになるし、そうやってそれぞれの季節全てに良さがあるんですね。地面には季節ごとに色々な花が出てきて、いつの間にか消えていって、順番にそうやって自然の摂理の中で花たちは自分の季節がきたら咲いて、次の花にちゃんとバトンタッチしているような感じがして、自然の循環の中に自分も身を置いているんだなって、命の繋がりが見えるような気がするんですね。森の中って全てそうだと思うんですけど、それは間近に肌で感じていられるから、そうなってくると、命の大切さとか、そこまで考えるときがあります。夜なんかも、日が暮れた頃に森の中にいると、本当に真っ暗なんですよ。で、2階のデッキも作ったんですけど、デッキに出て遠くの山に向かって低い笛をボーっと吹くだけで、それが山を越えていくんですよ。音が見えるような感じっていうんですかね。『山を越えて向こうの集落に届いているはずだなぁ』っていう、そういう気持ちよさがあるんです。そういう感じを聴いていただきたいなぁと思って、低い笛を使ってそれをやってみたら、結構いい感じだったので、それをそのまま活かした形です。
 『土の道』っていう曲で使ったんですけど、『土の道』はオカリーナの森の敷地内に畑があって、その真ん中に1本、農道のように裸足で歩けるような道を作りたいとずっと思っていて、両脇にはお茶の苗木を植えたんですけど、昔の山村の農家の家とかは必ずお茶の木が生垣になっていたりとか、畑と畑の境目にお茶の木が植わっていたりとか、そういう昔ながらの農家の風景を再現したいと思ったんです。で、入り口から両脇にパーっと50メートルくらいお茶の苗木を植えたんですけど、その土の道をイメージして、昔の土の道も含めてですけど、裸足で歩けるような道を作る、そういう思いで作ったのが『土の道』なんです。」

(放送では、ここで宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から
「土の道」を聴いていただきました)

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●このアルバム「オカリーナの森から」のテーマ・ソング的な曲というのもあると思うんですけど、それはこの中ではどの曲になるんですか?

「今回のテーマとしては『森に還る』っていう曲があるんですけど、これが今回のアルバムのメイン・テーマですね。」

●この曲はアルバムの前半にあり、一番最後にはオカリナとピアノのデュオという形でも収録されていますね。

「はい。音楽堂に行く手前のところがスギの森になっているんですね。その杉木立がキレイなんですけど、その感じと雑木の山並みとかその辺の景色がすごく好きで、夕暮れの日が陰ろうとしている時間帯に行くと、本当にホッとするんですよね。いつもそうなんですけど、静かな森の中で、色々な意味で自分を振り返っていたりとか、とにかく静かな森で静かな自分を感じているっていう感じなので、なんとなく土に足がついているような感触もあって、それが自分を一番落ち着かせてくれるっていうか、冷静になっているような感じがあるんですよね。

 今、世の中は色々な波があって、大変そうな感じで、それぞれみなさん悩みがあるかもしれないけど、都会の人でもオカリーナの森にちょっとでも足を踏み入れてもらえたら、気持ちが変わるんじゃないかなぁと思うんですね。ここの森に来てくれたらハッと我に返って、色々悩んでいたことがパーっと一瞬消えて、『なーんだ。そんなことで悩んでいたのか』っていうくらいの、目から鱗みたいなものがあるんじゃないかな。とにかくここに来たら自分の原点に戻って、明日から新たな気持ちで朝を迎えられるようになるんじゃないかなと思っていたので、そう感じてもらえるような曲を夕方の時間帯に合わせてできたらいいなと思いましたね。やっているうちに『この曲は夕方だよなぁ』っていうふうになっていったとは思うんですけど、その辺の感じが都会のみなさんにも一番ゆったりしてもらえる曲が今回は一番大事だなぁと思っていたので、心が安らぐようなアルバムにしたいという意味では『森に還る』っていう曲がメインですね。」

●この番組は夕方を通り越して深夜に放送されますけど、今日1日の終わりを締めくくるにもピッタリの曲だと思います。それでは、宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から「森に還る」を聴いていただきましょう。

(放送では、ここで宗次郎さんのニュー・アルバム「オカリーナの森から」から
 「森に還る」を聴いていただきました)

 

AMY'S MONOLOGUE〜エイミーのひと言〜

 残念ながら私は「オカリーナの森」に行ったことはないのですが、宗次郎さんのニューアルバム『オカリーナの森から』を何度も聴いているうちになんだか「オカリーナの森」に行ったことがあるような気になってしまいました(苦笑)。なにより最近キャンプに行っていない私にとってこのアルバムは森を思い出させてくれるもの。オフの日に自宅マンションのベランダでコーヒーを飲みながらこのアルバムを聴いていると、とても心が落ち着きます。
 でもやはり今度は実際に「オカリーナの森」へ行って、ナマで宗次郎さんの演奏を聴きたい!今はそんな贅沢なことを考えています。

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オカリナ奏者・宗次郎さん情報

『オカリーナの森から』写真

ニュー・アルバム『オカリーナの森から
絶賛発売中!

ユニバーサル ミュージック/定価3,000円
 宗次郎さんの新たな活動拠点、茨城県常陸大宮市にある「オカリーナの森」で創作したニューアルバム。宗次郎さんの感性と思いがたっぷり詰まった計12曲を収録。
 

コンサート情報
 9月15日(火)には「ばんな寺(栃木県)」の特設舞台でのコンサート、そして10月4日からはツアーもスタート。関東では、10月4日(日)に栃木県総合文化センター(チケット4,000円)、10月25日(日)には、東京「文京シビックホール(チケット5,000円)」で開催されます。
 ◎問い合わせ:風音工房
  TEL:03-5828-6042

尚、ツアーやCD情報に関しては宗次郎さんの公式サイトをご覧下さい。
サイトには「オカリーナの森」の紹介写真ほか、「宗次郎」さんの日記もあり、ご自身が撮影したスナップ写真なども掲載されているので、ぜひご覧下さい。

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. SING / CARPENTERS

M2. 新たないのち / 宗次郎

M3. 小鳥たちの朝 / 宗次郎

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4. 森の舞曲 / 宗次郎

M5. 土の道 / 宗次郎

M6. 森に還る / 宗次郎

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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