2009年9月27日

「五感で感じる季節と天気」
ウェザーニューズの森口哲夫さんを迎えて

今週のベイエフエム/ザ・フリントストーンのゲストは、森口哲夫さんです。
森口哲夫さん

 株式会社ウェザーニューズの森口哲夫さんをゲストにお迎えし、自然のサインで感じる季節の移り変わりのことや、今年の秋から冬にかけての天候についてうかがいます。

 

ゲリラ雷雨の謎に迫る!

●今日はよろしくお願いします。森口さんは気象予報士でもいらっしゃるので、今日は今年の天気も含めて、色々とお話をうかがっていきたいと思うんですけど、まず今年の前半、春夏を振り返ってお話をうかがっていきたいと思います。私、もう忘れちゃっているんですけど(笑)、今年、桜の開花って早かったんでしたっけ?(笑)

「今年は特別早いという感じではなかったんですけど、特徴として花が咲いてから見頃になるまでが結構時間かかったんですよね。通常だと開花から見頃の満開まで1週間くらいなんですけど、今年は2週間くらいかかっているんですね。咲いてから順調に気温が上がっていってくれると、一気に満開になってくるんですけど、今年の場合は1回花が咲いてから冷たい風が入ってきちゃって、桜の花も縮こまってしまって、咲くのを待ってしまったんですね。」

●咲き惜しみしてしまったっていう感じなんですね(笑)。

「そういう感じですね(笑)。なので、満開になるまで時間がかかったっていうことなんですよ。逆に言うと、お花見の期間も長い時間楽しめて、確か週末も2〜3回お花見が楽しめたんじゃないでしょうか。」

●一方、夏はどうでしょう? 前半は冷夏って言っていいんでしょうか?

「冷夏というより、夏が来なかったなっていう感覚ですね。普段の年だと、夏の主役は太平洋高気圧っていう南に中心を持つ、暑くて湿った空気を持った高気圧が日本列島をガーッと覆ってくるのが夏なんですけど、今年はその太平洋高気圧が強まってくれず、日本列島を全然覆ってこなかったんですよ。なので、梅雨がずっと長く続いてしまっているような印象ですね。」

●やっぱり夏の天候っていうのは、エルニーニョとかに左右されるんですか?

「そうですね。先ほど言った、太平洋高気圧の強まりがエルニーニョ現象と関係があるんじゃないかといわれています。エルニーニョというのはフィリピン付近の太平洋の西側の海水温が低くなる現象なんですね。海水温が低くなると対流活動という、そのあたりの雲ができにくい状況なんです。で、そのあたりで雲ができないと逆に太平洋高気圧がなかなか強まってくれないんですね。フィリピン付近が弱いから、太平洋高気圧も弱くなるという関係があって、結局、日本の夏もあまりハッキリしない夏になってしまったというのが今年の夏ですね。」

●実は私、東京都の練馬区に住んでおりまして、練馬豪雨といわれるくらい、ゲリラ雷雨の多い地域でして、年々ゲリラ雷雨という言葉が普通に使われるようになってきましたが、これは夏だけの現象なんですか?

「雷雨自体は夏だけじゃなくて、春夏秋冬いつでもあるんですけど、いわゆるゲリラ雷雨と呼ばれている、青空だったのに急に雲が出てきて雷雨になるっていうのは夏が多いですね。その急に出てくる雷雨っていうのは、地面が熱せられて、30度とか35度になってきて、その上昇気流によって起きるっていうパターンが一番多いんですね。冬とかは35度とかいきませんので、熱せられて上昇するって効果が少ないんですよ。なので、突然の雷雨っていうと、やっぱり夏っていうことになりますね。」

●ニュースなどでも取り沙汰されていたんですけど、このゲリラ雷雨だけは予測が難しいそうですね。

「そうですね。一番難しい原因っていうのは、急に発達するっていうことなんですね。雲ができ始めてから30分後には轟々としたゲリラ雷雨になっているっていうこともあります。で、今までの気象レーダーとかだと、気象レーダーで捉えられるのが、雷雨になる直前まで分からないんですよね。気象レーダーっていうのは上空2キロより上のところしか映っていないんですね。で、ゲリラ雷雨になる雲っていうのは、最初、でき始めは2キロより下のところにあるんですよ。なので、でき始めの時はレーダーには何も映っていないんですよね。で、だんだん成長してきて、2キロくらいに育って、ようやくレーダーで捉えられるようになると、もう雨が降る直前になっているっていう。」

●なるほどねー!

「それで予測が難しいんですね。もうひとつの理由が、かなり小さい現象なんですよ。普通、気象現象の低気圧とか高気圧というのは、何千キロという単位での現象なんですけど、ゲリラ雷雨というのは1キロとか、下手をすると500メートルとか、そういう小さい現象なので、いわゆるコンピューターでの予測というのができないんですよ。なので、ゲリラ雷雨っていうのは非常に難しい、予測が不可能といわれているんですね。」

 

人間の五感とコンピューター、どちらが天気を当てられる!?

●気象予報士でもある森口さんに今年の春夏の天気を振り返っていただいたんですけど、すっかり朝晩冷え込むようになった今、そしてこれから秋冬にかけてっていうのは、どういう天候になりそうですか?

森口哲夫さん

「今年、エルニーニョがありまして、エルニーニョの一般的な傾向を言うと、東日本の場合、秋とか冬は気温が高めになる傾向があるんですね。なので、一般的な傾向を考えると、それほど早い紅葉前線の南下っていうのはないんじゃないかと思うんですが、一方で、今年は9月になっても残暑があまりなく涼しいですよね。で、今うちの会員のウェザーリポーターから送られてくる情報なんかを見てみると、もうすでに葉っぱが色づき始めている報告とか届いているんですよ。かなり真っ赤になっている樹木もあるんですね。なので、今年スタートは早いんだと思います。スタートは早いんだけど、広がってくるのが少しゆっくりかなぁという感じはしますね。」

●ということは、これから10月以降のことを考えると、そんなに寒くもならず、あまり変わらない、今くらいのお天気が少しずつ冷えていく感じですか?

「そうですね。そんなに極端に冷えるという感じではないと思います。」

●ということは、過ごしやすい秋冬といえそうですか?

「平均してみると平均的に高い気温になりそうなんですけど、逆に関東エリアの場合は、気温が高めのほうが冬は雪が降りやすかったりするんですね。というのは、一般的な冬型の気圧配置、日本海側でどかどか雪が降っているときっていうのは、関東エリアはほとんど雪が降らないんですけど、関東エリアで雪が降るときっていうのは、南海上を低気圧が通過していくっていうパターンなんですね。気温が高いときは南海上を低気圧が通過しやすくなるんですよ。なので、平均気温をとると例年より高めの気温なんだけど、雪は例年より多くなるかもしれないですね。」

●じゃあ今年は雪を覚悟したほうがいいですね。

「まだ先なので断言はできないんですけどね(笑)」

●まだ先ですもんね(笑)。そういう傾向にあるという感じなんですね。

「そうですね。あとは、関東エリアの場合、直前になっても雪なのか雨なのか、分からない場合が多いんですね。なので、今、ウェザーニューズのほうでは、それもサポーターと一緒に雨になるか、雪になるかを捉えていこうっていうのを去年やったんですね。で、コンピューターの予想では完全に雪だって結果が朝出ていたんですけど、サポーターから『今日、あなたの五感で雪降りそうですか? 雨になりそうですか?』っていうのを関東エリアのサポーターに聞いたんですね。そしたら、ほとんど『雪降らない』っていう五感をサポーターは持っていたんですよ。で、実際に雪は降らなかったんですよね。コンピューターよりも人の五感のほうが全然合っていたっていうのが実際に去年あったんですよ。」

●今日、森口さんにお話をうかがう中で、サポーターという言葉が登場していますけど、このサポーターの方々というのはどういう方々なのか、ご紹介いただけますか?

「はい。ウェザーニューズの有料会員でして、今、160万人いるんですけど、そういった方々が今の天気の状況を携帯電話を通して報告してくれるんですね。『今、晴れてきています』とか、『雲は西から東に動いていっていますよ』とか、あるいは雨が降る直前だと『生暖かい風が吹いてきました』とか、『土の匂いがしています』とか、あるいは『今年の稲は順調に育っていますよー』とか、色々な天気、気象、身近に季節を感じることっていうのを報告してくれるんですね。で、我々、ウェザーニューズのほうでは気象データ、コンピューターだけでは分からない部分が相当あるんですよ。で、そういったコンピューターだけでは分からない部分を、サポーターの感覚を取り入れることによって、より正確な天気予報というのを目指しているんですね。」

 

雲や虹で天気が読める!?

●よく秋、冬に使われるような観天望気ってありますか?

「あります。これからの季節は短い周期で天気が移り変わっていくんですけど、そういったときにオススメの空の読み方、我々は“ソラヨミ”と言っているんですけど、ひとつは雲を見て洗濯板みたいな形でなみなみしている雲がよく見られるんですね。このなみなみした雲っていうのは、天気が下り坂のサインなんですよ。『これから雨降ってくるよ』のサインなんですね。このなみなみしている雲っていうのは、実は低気圧の前にできているんですね。なので、なみなみした雲があると、そのうち低気圧がやってきて、雨が振るっていうサインになるんですね。しかも、このなみなみで雨が降り出してくるまでの、ある程度の時間が読めたりするんですよ。」

●詳しく聞かせていただけますか?

「低くどんよりとした雲でなみなみしている場合、目の太い洗濯板のような雲の場合は、3〜6時間後に雨が降ってくるんですね。で、逆に青空のところで細いなみなみができている場合、そのときは10〜20時間後に雨が降り出してくるっていう合図なんですね。」

●雲の迫り方と色を見ると・・・。

「大体、雨がいつ降ってくるかが読めたりするんですね。」

●最低でも3時間前に「雨が降りそうだな」って分かるのであれば、「傘を持って出よう」とか可能ですもんね。他にも観天望気でありますか?

「簡単なところだと、飛行機雲が長くできて、それが残っている状態は、次の日、雨の可能性が高いですね。」

●それは次の日ですね?

「はい。これは3時間後とかではなくて、次の日のパターンです。これは根拠がしっかりしていまして、飛行機雲がずっと長く残ったままだと、上空の空気がかなり湿っているっていうことになるんですね。で、上空の空気が湿っているっていうことは、次に湿った空気が低いところまで入り込んでくるっていうサインになって、次の日に天気が崩れてくるっていうことに繋がるんですね。逆に、飛行機雲が飛行機のお尻からできてすぐなくなっているパターンは、上空がまだまだ乾いている状態なんですね。つまり、雲ができにくい状態といえるんですよ。なので、飛行機の後ろ側を見て、雲ができているかどうかを見て、次の日の天気がある程度判断できます。」

●これ便利ですね!

「お金もかからないですしね。」

●ちょっと電車を待っている間とか、バスを待っている間にちょいちょい空を見上げていればいいわけですもんね。他には何かありますか?

「『朝虹は雨』という言葉があるんですけど、これは自分のところより西側に雨雲があるということなんですね。朝日は東から日が差しますよね。で、東から差した日が西側の雨雲に当たって、スクリーンになって虹が出来上がるのが朝見える虹の正体なんですね。で、西側に雨雲があるっていうのは、大体、天気って西から東に移ってくるので、西側の雨がそのうち自分のところにやってきますよというサインになるんですね。」

●朝の虹は要注意ですね。朝、虹が出たら傘を持てってことですね。

「そうですね。西側に雨雲があるぞということですからね。逆に夕方の虹は天気が回復して、これから晴れてくるぞってサインなんですけど、これはさっきと逆で自分のところより東側に雨雲があって、西からの日差しに当たって虹ができる状態なんですけど、もう東側にあるので自分から離れていく一方ですよね。なので、夕方の虹は嬉しい虹ですね。」

 

もっと五感で季節を感じて欲しい

●ウェザーニューズでは「五感を磨く! 世界初のお天気マガジン SORA」というのを発行しているんですけど、これは季刊誌なんですか?

「そうです。」

●これはいつから出ているんですか?

「7月に夏号が出まして、それが最初です。今度の秋に出るのが2号になります。」

●夏号のほうではお話にもあったゲリラ雷雨のお話とかが載っているんですけど、この秋号はどんなことを特集しているんですか?

「秋号の特集は台風になります。それも気象学的に台風がどうなるって難しい話ではなくて、台風のときに人がどう感じるのかとか、台風の時の雲はこんな感じですよとか、そういった人の感覚、五感を基にした特集になると思います。」

●夏号のほうで拝見していると、「SORA」のキーワードともいえるのが、“感じる”に“測る”の“感測”と“五感”ということで、読ませていただいていると、もちろん色々な空のお話もあるんですけど、色々な方たちの立場から五感を使った天気の感じ方だったり、予報の仕方が載っていて、すごく面白いですね!

「ありがとうございます。」

●雑学ネタにもなりますし、これを読んで知っていると、自分も実際に空を見上げたくもなるし、見上げたときに「SORA」を読む前よりも天気が身近になって、少し分かったような気がしてしまいますよね。

森口哲夫さん

「嬉しいですよね。楽しいと思うんですよね。家と会社の往復ばっかりだと季節感も感じないと思うんですよね。電車や会社のオフィスの中も冷暖房が効いていたりしますし、あまり今、季節を感じられていないと思うんですよね。でも、会社の中でも窓を開けて、空を見上げることによって、例えば『もうトンボが飛んでいるなぁ』とか、『だんだん富士山がくっきり見えるようになってきたなぁ。冬が近づいているんだなぁ』とか、季節を感じられるようになると思うんですよね。で、そういった空を見上げて季節を感じてください、五感で感じてくださいっていうのが季刊紙『SORA』の大きなコンセプトですね。」

●これからもっともっと、もって生まれた五感というものを大切に磨いていきたいですね。そのためにも季刊誌「SORA」をじっくりと読んでいきたいと思うんですけど、これから私も五感で感じたお天気を予報していきたいなと思います。今日はどうもありがとうございました。

 

AMY'S MONOLOGUE〜エイミーのひと言〜

 学生時代スポコン少女だった上、交通事故で2トン車に飛ばされ、踏みつけられるなど、体のあちこちを痛めつけてきた私ですが、実はこれらの“古傷”がソラヨミに役立っているのです(苦笑)。特に冬の場合、同じ寒い日でも湿気を伴っているときは骨折した箇所が痛み、すごく寒い日は強度打撲した右膝がうずくように痛みます。ですから体の痛む箇所によって傘を持つか重ね着するフリースを一枚増やすか決めています。でも今回、森口さんのお話をうかがい、今年の冬は何度になると右膝が痛むのか、ちょっとデータをとってみようと思っています。いわゆる「右膝予報」ってやつです!皆さんもご自身の五感を使った“あなたのソラヨミ”を試してみてはいかがでしょうか。

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株式会社ウェザーニューズ情報

 世界最大の気象情報会社「株式会社ウェザーニューズ」では気象に関する様々な取り組みを行なっていますので、ぜひホームページをご覧下さい。
 特にオススメなのは、動画の気象情報番組『SOLIVE(ソライヴ)』。専用ソフトをダウンロードしてパソコンのデスクトップに貼り付けると、全国のサポーターから届いたリポートなどで構成した番組が常時、配信される仕組みとなっているほか、「ソラヨミ」のコーナーもあるので、ぜひチェックしてみてください。

五感を磨く!世界初のお天気マガジン『SORA』
 今年の夏に創刊された季刊誌。
10月1日発売予定の秋号の特集は台風。ほかにも、保存版企画の「空の名前」など、読みごたえのある内容となっています。
 定価:300円
 お買い求めは:「ウェザーニューズ」のホームページ、または電話
  TEL:043-274-5525

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オープニング・テーマ曲
「ACOUSTIC HIGHWAY / CRAIG CHAQUICO」

M1. IT'S RAINING MEN / THE WEATHER GIRLS

M2. SUDDENLY I SEE / KT TUNSTALL

M3. WEATHER WITH YOU / CROWDED HOUSE

ザ・フリントストーン・インフォメーション・テーマ曲
「THE CARRIAGE ROAD / JIM CHAPPELL」

M4. 明日天気になあれ / ゆず

M5. OVER THE RAINBOW / FAITH HILL

M6. 空はまるで / MONKEY MAJIK

エンディング・テーマ曲
「THE WHALE / ELECTRIC LIGHT ORCHESTRA」
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