皆さんは猫がゴロゴロとノドを鳴らす理由をご存知ですか? 一般的に知られているのは、リラックスしている時や、甘えている時、嬉しい時などによくノドを鳴らす、ということですが、獣医「野澤延行」さんの本『ネコと暮らせば~下町獣医の育猫手帳』によると、猫たちは、身体の調子が悪い時にもゴロゴロと鳴らしているそうなんです。
猫の“ゴロゴロ”という音は、実は、声帯から出ているのではなく、胸の内部から伝わる反響音で、血液の流れる音が、「横隔膜」や胸全体を振動するものだ、といわれているそうです。ただ、実際のところは、まだはっきりしたことは解明されていないんだとか。でも、ライオンやチーターなどの、他のネコ科の動物もこのゴロゴロという音を出すので、進化する過程で必要だったのではないかと推測されています。
そして「野澤」さんの本には、その推測に基づいて、あるアメリカの研究所が立てた仮説も紹介されています。
その仮説とは、猫のゴロゴロ音は猫が自らの治癒能力を高めているのではないか、というもの。つまり、単独行動を好む猫は、ケガをした時に自らの治癒力を高められるように進化したのではないか、というんですね。
ちなみに、この“ゴロゴロ”という震動音は、20~50ヘルツで、この振動によって細胞が活性化し、骨の治癒効果があった、という実験結果も出ているそうです。
「野澤」さんは、もしこの仮説が正しければ、猫は、数千万年前から「超音波治療」を自ら施していたことになる、そして健康な猫がゴロゴロ鳴らすのは、普段から細胞を活性化させて免疫力を高め、コンディション作りをしていることになる、と本に書かれています。
もしそうだとすれば、猫は例え飼い猫となっても、野生で生きられるすごい能力を身に付けた、神秘の動物といえそうです。