この地球上には自らの中に、モバイル環境を持っている生き物がいます。その生き物とは「クジラ」。
彼らはどこにいても、伝えたい相手に、直接、思い描いたイメージを一瞬の間に伝えられる、つまり現代の我々の技術に置き換えると、モバイル環境でのインターネット通信機能を自らの体の中に持ちあわせているということなんですね。
ご存知のようにクジラたちは、おでこにあるメロンブレインと呼ばれる、強力で精密な器官から超音波を発信し、帰ってきた音波を受信しているわけですが、こうして超音波を操ることで、海中の距離や地形を測ったり、仲間同士で交信しているクジラたち。
特に、その通信能力は私たちの想像をはるかに越えるもので、南氷洋からハワイ沖まで、6,000キロも離れたザトウクジラの群れ同士が交信したのではないかという、アメリカ海軍の潜水艦の調査記録も発表されています。
また、クジラたちは、超音波を使ってエサとなる魚の群れを探し出したり、その超音波で、直接、魚たちに衝撃を与えて捕獲したりもしますが、実はこの時の、緻密な連携プレイを支えるのも、彼らの相互通信能力だということで、完ぺきに通信できるようになるまで、若い子クジラたちは、この狩りには参加させてもらえないのだとか。
はるか昔からその独特のモバイル・システムを使って海の中で平和に暮らしてきたクジラたち。もしかしたら彼らは私たち人間の技術が追いつき、彼らがイメージする平和のあり方を、私たちがキャッチできる日を待ち続けていてくれているのかもしれませんね。