2009年12月13日<インタビュー>
アメリカ・モンタナ州在住の動物写真家 「原田純夫」さん電話インタビュー
ザ・フリントストーンでは、1993年以来、お付き合いさせていただいている動物写真家、原田純夫さん。原田さんは現在、アメリカ・モンタナ州の「グレイシャー国立公園」の近くに住み、“ロッキー山脈の自然”をライフワークに、撮影活動を続けてらっしゃるんですが、そんな原田さんが、写真と音楽のコラボレーションDVD『THE BREATHS OF GLACIER』を出されたということで、今日は久しぶりにお電話でお話をうかがいたいと思います。
●原田さーん!
「はーい! お久しぶりです!」
●ご無沙汰しています。ご家族はお元気ですか?
「おかげさまで山の中でほとんどストレスのない生活をしているので元気です。」
●そんな環境に住んでいらっしゃる原田さんですけど、実は最新作のDVD『THE BREATHS OF GLACIER』が発売になりましたね。おめでとうございます。
「ありがとうございます。」
●これは、日本語に訳すと「氷河の息吹」になるんでしょうか?
「『GLACIER』というのは、むしろ固有名詞として訳してもらうと、『グレイシア国立公園の息吹』ということになります。」
●240点の写真が使われているんですよね?
「グレイシア・パークを撮り始めて大体20年近くになるんですけど、最初、数万枚の中から300点くらいを僕が選んで、それでも自分だけで選んでしまうと、思い入れの強さで選んでしまったり、くどくなってしまったりするので、そのあとに第三者という形でアート・ディレクターに240点に絞ってもらって、まとめました。普通、出版物の写真集だと100点くらいに絞らないといけないんですけど、そうすると、ハイライトばかり、目立つものばかりを並べてしまうんですよね。今回はDVDという形で、もう少し枚数に余裕があったので、さりげない写真だとか、そんなに『わーっ!』っていう写真じゃないんだけど、味のあるような写真も入れられるなと思ってセレクトしたので、自分では満足しています。」
●そんなDVD『THE BREATHS OF GLACIER』なんですが、見る人には、このDVD作品からどんなことを感じ取って欲しいと思っていらっしゃいますか?
「普通の日本人にとってロッキー山脈っていうと、漠然と“山”っていう感じがあると思うんですけど、もちろん山がバック・グラウンドなんだけど、実は色々な環境があって豊かな生態系がそこにあるっていうことを伝えたいというのがひとつのテーマなんですね。これは、生態系のことをいちいち文章で説明するような学習臭いものでは困るんだけど、想像力を逞しくして、色々な動物や植物の繋がりを少し感じ取って欲しいなと思っています。」
●『GLACIER』というのはグレイシア国立公園のことで、グレイシアという単語自体は“氷河”を意味すると先ほど教えてくださいましたが、そちらに15年住んでいらっしゃって、温暖化とか色々な環境の変化って感じますか?
「感じますね。ここの国立公園が設立されたのが約100年前なんですけど、そのときには氷河が150個もあったらしいんですね。で、当時の写真を見せてもらうと『おっ! こんなにでかいのがあったんだ』って思うんだけど、今は25個しかなくなっちゃって、あと、悲しいことなんだけど、あと15年くらいで全部消えちゃうだろうといわれているんですよ。で、氷河自体がなくなることも悲しいんだけど、その高山帯っていう場所が雪が多くて木のない場所なんだけど、そういう特殊な場所がこれからだんだん暖かくなって、雪が早く溶けて、乾燥して樹木に覆われてしまうっていうのが目に見えているんですね。そうすると、高山帯でしか生きていけないマウンテン・ゴートとか、ライチョウの棲む場所がなくなってしまうということを考えると、暗い気持ちになっちゃいますね。」
●今回のDVDの中で活き活きとしている生きものたちを見ながら、この生きものたちがずっとこのままでいてくれるように、自然や環境のこともみんなに考えて欲しいですよね。日本に戻られるご予定はないんですか?
「ほとんどないですね(笑)」
●(笑)。もし戻られることがあったら、お会いしてお話をゆっくりうかがいたいなと思うんですけど、これからも素敵なお写真見せてくださいね。楽しみにしています。
「ありがとうございます。みなさんお元気で」
アメリカ・モンタナ州在住の動物写真家、原田純夫さんにお話をうかがいました。
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